【講義アーカイブ】寄付講座「知恵の庭」第1シーズン 第1回「弟子が師匠をチート化した件: 天台大師智顗と章安灌頂」(講師:村上明也)[2020年12月20日]

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※ この講義のレジュメ( http://ow.ly/phZy30rpiBa )を配信しておりますので、適宜ダウンロードしてください。
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講義概要

「隋の三大法師の一人」「天台教学の大成者」「隋の楊広(569-618)の戒師」「生涯で二度の悟りを体験」など、数多くの肩書きをもつことで知られる天台大師智顗(てんだいだいしちぎ、538-597)。実はこの人…自ら筆を執って書物を著すことがきわめて少なく、「天台三大部(法華三大部とも)」として人口に膾炙する『法華玄義』『法華文句』『摩訶止観』といえども、これを書冊のかたちに纏め上げたのは、章安灌頂(しょうあんかんじょう、561-632)というお弟子さんです。つまり、現在我々が見ることの出来る「天台三大部」は、智顗の講義内容がそのまま記録・保存されたものではなく、灌頂が再三再四にわたって編集の手を加え、智顗滅後に現行形態を整えた文献なのです。しかも、編集者の灌頂が『法華玄義』『法華文句』の中に、これまた「隋の三大法師の一人」「三論教学の大成者」「楊広も認めた超エリート僧」として知られる嘉祥大師吉蔵(かじょうだいしきちぞう、549-623)の『法華玄論』『法華義疏』の本文を取り込んだことが、多くの研究者によって指摘されています。

他人の文章を無断で取り込むという、現代では「盗用」「剽窃」「盗作」と呼ばれる行為。どうして灌頂(弟子)は吉蔵(他人)の著作の内容を智顗(師匠)の講義録に挿入したのでしょうか。

この講義では、天台と三論の文献交渉という視点から、弟子が師匠をチート化(チートとは、ずるいぐらいにスゴイ・まるでイカサマをしているかのように強いこと)していくプロセスを分かりやすく解説します。

日本印度学仏教学会賞 受賞記念講演

寄付講座「知恵(スキエンティア)の庭〜人文学の最前線〜」

ラテン語で「知恵」「知識」などを表すscientia(スキエンティア/シエンツィア)は、英語のscience(サイエンス)の元となった言葉です。science(サイエンス)は「科学」と日本語訳され、現在では主に自然科学を指す言葉として使われていますが、元々は学問全般を指す言葉です。連続講義「知恵(シエンツィア)の庭〜人文学の最前線〜」は、若手・中堅研究者による先端的な研究がクロスオーバーする場として企画されました。

本寄附講座は、人文学の「知恵」を未来につなぐために、若手研究者の発表の場を作りたい、という上七軒文庫の志に賛同してくださった小野嶋祥雄氏のご寄付により開講されます。本講座では、発表の機会に乏しい若手研究者とともに、今まさに研究の最前線を切り拓いている研究者にもご登壇いただき、多くの方々に人文学の面白さを知っていただく機会となればと思っています。

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